「direct Apps」の活用で協力会社を巻き込んだ現場業務のDXを推進
西松建設株式会社
- DX戦略室
デジタル技術革新部長
前 啓一 様 - DX戦略室
デジタル技術革新部 スマート現場推進課
土井 智矢 様
- 現場
工事主任
高橋 慧 様 - 株式会社加賀田組
現場 主任技術者
金子 俊輝 様
西松建設株式会社は1874年創業の建設会社です。東京パークタワーや玉川大学などのオフィス・教育施設、新千歳空港や中部国際空港などの空港、さらに羽田エアポートガーデン、ワイヤーズホテル品川シーサイドといった宿泊施設、大手ショッピングモールの建設など、建築から土木まで幅広く実績を残しています。
同社では2023年4月にデジタル技術革新部を設け、スマート現場の推進に力を入れています。西松DXビジョン2.1の中で定めた3つの「空間」のうちの「現場力がシンカしたスマート現場」を推し進めるのが、デジタル技術革新部スマート現場推進課の使命です。今回は、「direct Apps」の活用を通して「DXを推し進めるスマート現場推進課」および「DX推進のモデル現場」を訪問し、「direct Apps」の活用方法や効果について伺いました。
POINT
課題
導入の
決め手
活用・効果
西松建設全体のDXに向けて、モデル現場の事例を横展開
⸺スマート現場推進課は、貴社全体の現場DX推進を担っていると伺いました。まずは、DX推進に向けた課題を教えてください。
DXを進めるにあたって最も難しいのは組織文化の変革です。どこの現場も人手が不足している状況で、新しいツールを導入することを負担に感じる方は多いです。
スマート現場推進課では、約250箇所ある西松建設の現場のうち、変革に前向きな所長や積極的な社員がいる現場を「DX現場」と設定した上で、新しい取り組みを重点的に進め、その取り組みを4か月に1回の「DXカンファレンス」で発表してもらうことで、DXの機運を全社に広げることがねらいです。
⸺スマート現場推進課の皆さまがDXを推進する上で大切にしていることは何ですか?
ツールをただ導入するのではなく、運用までサポートすることです。現場に寄り添って課題やニーズを洗い出し、本質的な業務改善までをフォローするようにしています。
「direct Apps」の活用で現場のDXを進める
⸺「direct Apps」活用のきっかけを教えてください。
現場にヒアリングしたところ、メンバーに割り振ったタスクの進捗状況や量の把握ができないといった課題が、現場組織が大きくなればなるほど顕著に現れる傾向があり、スマート現場推進課としても対応したいと考えていました。
⸺タスク管理については、統一的なツールやワークフローは決められていなかったのでしょうか?
人によってエクセルを活用したり紙の野帳に書いたりと、最適なやり方を選択していた状態でした。しかし上長にとっては、部下の作業進捗を把握できない状態だったのです。
「direct」ならではの連携機能
従来のホワイトボード管理はスケジュール機能に置き換え
⸺実際に「direct Apps」をお使いいただいている現場からの評判をお聞かせください。
「direct Apps」を活用している「DX現場」からは特に好意的な声が寄せられています。「タスク」機能については、プッシュ通知機能やチャットとの連携について、よい評判が多く、また各タスクの閲覧権限を指定できることも好評です。年長者に見られているところでタスクを振ることに心理的なハードルを感じる若手職員もいる中で、自分のマネジメント範囲のみで閲覧できるように設定できるところがよいと感じています。
⸺「スケジュール」機能を活用されている現場もあると伺っています。
現場によって使われ方はさまざまですが、紙ベースでおこなわれていた搬入資材の管理、あるいはホワイトボードに書いていた行動予定表の代替として「スケジュール」機能を利用している現場が多いようです。紙やホワイトボードの場合はその場にいないと確認も記入もできませんが、「スケジュール」なら現場や出先でも編集や確認ができて便利ですね。
後ほどご訪問いただく「DX現場」では、資材搬入予定を「スケジュール」で管理した上で、各自のスマートフォンだけでなく会議室に設置してあるモニターに映す独自の工夫が凝らされています。
⸺「direct Apps」の利用を広げるために、スマート現場推進課としてどのような取り組みをされていますか?
社内SNSやデジタルサイネージ、先ほどお話ししたDXカンファレンスで、利用事例を横展開しています。認知拡大の取り組みを通して、「direct Apps」を活用する現場が少しずつ増えてきた感触がありますね。
協力会社も一丸となった現場DXを目指す
⸺「direct Apps」を使ったことで、どのような成果が生まれましたか?
スマート現場推進課では、現場の時間削減と新しい価値の創造の2つをKPIとして定め、年に1、2回の定期的なヒアリングをおこなっています。「スケジュール」機能を活用したことで1人あたり60分/月程度の時短につながっているという声が現場から挙がってきました。現場としては「direct Apps」を活用することで業務効率化につながっていると感じているようです。
⸺今後の展望についてもお聞かせください。
「direct」は協力会社さんと一緒に運用できているため、協力会社さんを巻き込んだ業務効率化や価値の創造に繋げられるのではないかと考えています。
具体的には、「direct」と「Buildee」(*1)や「BizStack Assistant」(*2)との連携についても模索しています。「BizStack Assistant」との連携は特に期待していて、弊社内では生成AIはすでに活用していますが、協力会社さんの中にはそうした技術に触れていない方もいます。それを我々職員と一緒に使うことでさまざまな価値が生まれると思っています。
「direct」はコミュニケーションの核となるツールです。「direct」を基点に他のツールとの連携を進めていきます。
「direct」は現場の運営に必要不可欠
⸺DXに積極的に取り組んでいるというこちらの「DX現場」では、「direct」や「direct Apps」をどのように使っていますか?
業務全般で「direct」を活用しています。株式会社加賀田組とのJV(共同企業体)である当現場では、職長や協力会社の皆さんも含めた全員が、朝から夜までチャットで連絡を取り合っています。また、「direct Apps」の「タスク」機能を使った業務の進捗を管理していますし、「スケジュール」機能を使って資材の搬入予定を管理しています。隣接する現場とのやりとりにも「direct」を活用しているほか、緊急時の安否確認にも欠かせません。「direct」がないと現場が回らないくらい頼りにしています。
「スケジュール」機能で、資材搬入を一元管理
⸺「direct Apps」はいつごろから使われはじめましたか?
現場工事が始まってから約2か月後に、資材搬入の効率化を目的として「direct Apps」の「スケジュール」機能を使いはじめました。最初はホワイトボードも使って予定を管理していたのですが、資材管理については「スケジュール」機能に集約したほうがいいという判断になり、それ以降は「direct Apps」で一元管理しています。
⸺「スケジュール」にはどのような内容を記入していますか?
約2週間先までの資材搬入予定を管理しています。過去のデータも蓄積されていくので、搬入履歴を見直すこともあります。
「スケジュール」機能の魅力的な点として、紙にも印刷しやすいことが挙げられます。デジタルベースで管理していても、搬入予定表など紙で持ち運ばなければならない場面もあり、印刷が必要なことも多いです。「スケジュール」は印刷するときも枠が勝手に広がったり途中で切れたりすることのないよう自動で判断してくれるため、誰でも手間取ることなく印刷できます。デジタルはもちろん、紙でも見やすいなど、現場での使い勝手を考えて作られているなと感じます。
⸺「スケジュール」機能は業務効率化につながっていますか?
はい、そのように感じています。ホワイトボードに予定を書いていた際には、ひとつ予定が変わるだけで、その予定を現場に複数あるホワイトボードすべてに手書きしなければならず手間も時間もかかっていました。また、作業員さんに予定の変更が伝わっておらず、行き違いになることもありました。「スケジュール」機能を使うことで情報の行き違いが減ったほか、スマートフォンさえあればその場ですぐに変更を反映させられるため、非常に楽になりました。
また、一覧性があることも特長です。スマートフォンが手元にあれば、最新の資材搬入状況がすぐに把握できます。以前であれば、「あの資材はいつ搬入されますか?」「担当者に聞いてください」といった無駄なやりとりが生じていたのですが、「スケジュール」を開くだけで即座に把握できるようになりました。
タッチ機能搭載のモニターでタスクを一覧表示
誰にとっても見やすい運用
⸺「タスク」機能はどのように活用されていますか?
チームでの作業や2人以上が関わる作業の管理に活用しています。タスクには、通常の業務のほか、地域のイベントや現場のPR動画の作成なども登録します。発注者や地元の方々向けの現場見学会も「タスク」機能で管理しており、見学会の日時を現場全員に一斉に伝えられるので便利に活用しています。
こちらの現場ならではの使い方として、タスクの一覧画面を大きなモニターに映して誰でも確認できる状態にしています。モニターはタッチ操作が可能なので、その場でステータス変更や内容の更新を反映させることもできます。スマートフォンを開く必要すらないので、より各自のタスクを共有しやすく、使いやすい形になりました。
⸺「タスク」の運用方法について教えてください。
所長が仕事を割り振る際に、「未対応」としてタスクを登録します。作業を担当するときに「対応中」に移動させて、作業が終わったら「対応済」に動かすといった形で、一貫して進捗を管理しています。
タスクを割り振るときにタイトルに担当者の名前をつけるようにしているので、担当者をより明確にできる効果があります。また、1人で処理できない場合には、タスクの進捗を見てフォローしあうこともあります。
仕事の属人化を解消 チームとしての体制づくりに貢献
⸺「direct」や「direct Apps」を使うことで、現場はどのように変わりましたか?
業務をより効率的に進められるようになり、組織全体の一体感が増しました。誰に何のタスクが与えられているのか、そのタスクの進捗はどの程度なのかが一目で把握できるので、所長が全体を見渡せるようになったことを実感しています。端末さえあれば他のメンバーのタスク進捗も分かるので、作業が遅れている人がいる場合には早い段階でフォローに入る体制も構築できました。
⸺「direct」がきっかけとなって、組織文化が変わりつつあるのですね。
それ以外にも、他のメンバーに割り振られたタスクを見ることで、誰がどのような業務をしているのかを勉強している人もいるようです。「タスク」を使うことで作業所内の会話も増えましたし、今後もコミュニケーションを取りながら他のメンバーがどういった作業をしているのかを見習って、学び続けてほしいですね。
※記載内容は2024年9月時点のものです。