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コンクリート工事に関わる事務作業をボット活用で効率化
3~5割程度の労働時間削減に成功

西松建設株式会社

  • 技術研究所
    建築技術グループ
    係長

    又市 麻梨子 様

西松建設株式会社は1874年創業の建設会社です。東京パークタワーや玉川大学などのオフィス・教育施設、新千歳空港や中部国際空港などの空港、さらに羽田エアポートガーデン、ワイヤーズホテル品川シーサイドといった宿泊施設、大手ショッピングモールの建設など、建築から土木まで幅広く実績を残しています。「西松-Vision2027」では「新しい価値をつくる総合力企業へ」を長期ビジョンとして掲げ、安心して暮らせる持続可能な社会・環境づくりに貢献しています。

2020年に「direct」を導入した同社では、職員間でのやりとりのみでなく、協力会社を巻き込んだコミュニケーション活性化に取り組んでいます。特に柔軟かつ慎重なやりとりが求められるコンクリート工事における協力会社との連絡および確認業務、集計業務を円滑に遂行し発注ミスを防止することを目的として、「direct」を提供する株式会社L is Bと、ボットを構築する日本ディクス株式会社の3社共同で、チャットボットを活用したコンクリート工事情報共有システム「CON手配ボット」を開発しました。

「CON手配ボット」によって、西松建設の業務がどのように効率化されたのか、お話を伺いました。

POINT

課題

導入の
決め手

活用効果

複数の協力会社との連絡や請求管理など、バックオフィス業務に膨大な時間を割いていた

「CON手配ボット」の開発プロジェクトを牽引する西松建設株式会社 又市様

当社の建設事業は大きく土木事業と建築事業に分かれているのですが、工事の際には多くの協力会社さまが関わります。特にコンクリート工事の場合には生コン商社やプラント、圧送工や左官工の皆さまにご協力をお願いするのですが、協力会社さまとのやりとりは従来、電話やメール、FAXでおこなっていました。

このように複数の協力会社さまと個別に連絡を取るため、業務量は膨大になります。コンクリートを扱うので天候によって状況が左右されやすい上に、共有漏れや手配間違いが起こらないよう柔軟かつ慎重な対応が求められていました。そうした連絡や確認業務は、当社の現場技術者と各協力会社さまの双方にとって大きな負担でした。手配を担当する現場技術者には次々と連絡が入ってくるので、常に電話をしている状況もありました。

その上、協力会社さまへのお支払いのための集計業務もおこなわなければなりません。月末には各協力会社さまから上がってくる請求書と現場にある作業伝票を目視で突き合わせ、請求書内容に間違いがないかを1つ1つ確認します。作業伝票は稼働日ごとに作られるので20枚くらいの伝票を手作業で確認することもあります。そのため、複数社を担当している現場技術者の場合、月末には大変な事務作業になっていました。

「CON手配ボット」を使うことで、日程調整に伴う事務作業を自動化

こうした課題を解決するために、L is Bさまや日本ディクスさまと共同で「CON手配ボット」を開発しました。いくつかの現場ではすでに「CON手配ボット」を使って手配作業を効率化しています。

下図のように、チャットボットが「direct」を通じて日程調整の連絡や確認、集計作業を自動化します。

使い方としては、まずは発注を担当する現場技術者がエクセル版の手配表に情報を入力し、「direct」の「現場トーク」内のチャットボットにコマンドを投げて手配表を登録します。そうするとクラウド上のデータベースに情報が書き込まれ、協力会社さまを含めて関係者が見られる状態になります。さらに「現場トーク」内のチャットボットにコマンドを投げれば、各協力会社さまの元に一斉に日程確認依頼の通知が届きます。各協力会社さまがそれぞれの日程に対して「○」「×」「△」ボタンを押すだけで、日程一覧ができあがります。その後は「△」や「×」をつけた協力会社さまと個別調整をおこなう形になります。

あるいは、このように協力会社さまへのお伺いのために使うこともあれば、個別のやりとりを先に済ませてから「CON手配ボット」を使う現場もあります。この場合、すでに下打ち合わせが終わっているので、最終確認として「CON手配ボット」を使うことになります。各現場の業務フローにフィットする形で臨機応変に用いられています。

日程確認依頼をチャットボットに指示すると、事前に登録した各協力会社へ報告依頼をしてくれる
左:現場内のトークと各協力会社とのトーク、右:協力会社トーク内でチャットボットから手配可否の確認がされる

241分かかっていた事務作業を、114分にまで大幅短縮

「CON手配ボット」の導入で、コンクリート手配にかかる時間が大幅に短縮されました。導入現場で効果測定をおこなったところ、コンクリート工事予定の連絡および確認にかかっていた時間が半分以下になった現場もあり、トータルフローで概ね3〜5割の労働時間の削減に成功しています。たとえば九州の現場では1回のコンクリート打設に対しての連絡や確認のために241分かかっていたのですが、「CON手配ボット」を導入することで114分にまで短縮されました。

「CON手配ボット」を利用した現場からは、「今まで電話で行っていた手配連絡が『direct』に置き換わったため便利になった。」「打設予定に関する内容は『direct』で用が済んでしまうため、協力会社からの質問が来なくなった。」など、協力会社とのやりとりが簡潔になったと高評価をいただきました。

九州現場Aでの作業風景
北日本現場Bでの作業風景
関東現場Cでの作業風景

特に、繰り返し作業が多い現場において「CON手配ボット」は大きな効果を発揮すると感じています。たとえばマンション建設の現場などでは手配の工程に対するイレギュラー対応が比較的少ないため、定型的な業務に「CON手配ボット」を用いることで事務作業負担を軽減できていると思います。

コンクリート工事は、品質上の安全性と施工性を両立させなければならず、天候などにも大きく左右される難しい工事です。電話などでおこなっていた協力会社さんとのコミュニケーションを「direct」に移行することで時間短縮や意思疎通内容の記録ができるほか、さらに「CON手配ボット」で自動化を実現できるので、さらに多くの現場で利用促進を図っていきたいです。

また今のところ現場では「CON手配ボット」は主に工事予定日の連絡・確認に使われていますが、集計作業にも活用してもらいたいと思っています。従来は紙伝票と請求書を突き合わせていた集計作業ですが、「CON手配ボット」で実績情報を現場内で共有し、請求処理の際にはコンクリート工事の出来高集計が可能になるため、さらなる効率化が実現するのではないかと期待しています。

さらに多くの事務作業を巻き取り、一層の効率化を実現させたい

今後は、「CON手配ボット」を土木現場も含めて全社に広めていきたいと考えています。一度使ってもらえると効果を実感できると思うので、まずは試験的にでも各現場で使ってもらってリピーターを増やしていきたいと思っています。

また現場に一方的に広めるだけでなく、現場の声を拾いつつシステムのブラッシュアップをおこなっていきます。コンクリート工事は、数ある業務の中でも手配・調整が複雑なものだと認識しています。現場の業務フローをシステムに反映させて機能を向上させていけるよう、L is Bさまとも相談しつつ改善していければと考えています。

現実的には、従来の方法で手配を続けることもできなくはありませんが、非効率な部分もあるとは思います。慣れている運用を変えることに抵抗を示す方もいらっしゃいますが、多少の切り替えの労力はかかったとしても、「CON手配ボット」はうまく活用すれば業務を大幅に効率化してくれるものです。L is Bさまや社内のDX推進担当者の皆さまにご協力をいただきながら、システムの普及に尽力していきます。

※記載内容は2022年11月時点のものです。

「direct Apps」の活用で協力会社を巻き込んだ
現場業務のDXを推進

現場DX推進を担う「スマート現場推進課」およびDX推進のモデル現場では、「direct Apps」を活用して協力会社を巻き込んだDX・業務効率化を実現されています。

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