運輸・交通

東海道新幹線全17駅の情報連携を強化
落とし物や運行状況の共有がスピーディーになり業務改善に大きく貢献

東海旅客鉄道株式会社

  • 新幹線鉄道事業本部 運輸営業部
    営業課 主任

    木藤 修兵 様

東海旅客鉄道株式会社(JR東海)は、「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」を経営理念として掲げる鉄道事業者です。東海道新幹線や、東海地区の在来線の運行、鉄道事業を基軸とした流通・不動産業に加え、日本経済・社会の更なる発展に資するべく、リニア中央新幹線の建設を進めています。中でも東海道新幹線は、日本の三大都市圏である東京~名古屋~大阪を結ぶ大動脈として、1964年の開業以来、半世紀以上にわたって約70億もの人を運び、日本経済の成長を支えてきました。

同社は、経営企画、人事、財務等を担当する管理部門に加え、新幹線、在来線、リニアを担当する部署や、非鉄道部門事業を統括する事業推進本部などにより構成されており、2024年3月末現在で18,514名の従業員が働いています。今回は、新幹線の安全・安定輸送を確保し、利用者にとってより良いサービスへブラッシュアップしていく新幹線鉄道事業本部のご担当者さまに、「direct」の導入でどのようにコミュニケーションが変わったのか、お話を伺いました。

POINT

課題

導入の
決め手

活用効果

FAXやPHSでおこなわれていた情報共有を効率化し、
お客さまの多様なニーズに応えたい

⸺まず、新幹線鉄道事業本部内ではどのようなコミュニケーションが発生するのでしょうか?

駅内では主に、落とし物情報や最新の列車運行情報、ホームや改札などの各拠点の混雑情報といった、新幹線の運行に関わるさまざまな情報連携をおこなっています。また、各駅間の紛失きっぷの共有、非現業(*)から各駅への指示事項の伝達や現場の状況報告などをおこなっています。

⸺「direct」導入以前、これらのコミュニケーションはどのようにおこなっていましたか?

一部の管理者はスマートフォンを使用していましたが、指令所からの情報伝達や駅内・駅間の情報連携は固定電話やPHS、FAXなどを利用していました。

しかし、駅員は接客中など手を離せない場面が多く、音声情報の確認が難しいことや、FAX機のあるところまで行かないと情報を得られないため、情報連携にタイムラグが生じるという課題を感じていました。

⸺チャットツールの導入を検討した理由を教えてください。

社員間のコミュニケーションの課題を解決し、お客さまへの情報提供の速度と質を向上させるためです。東海道新幹線は、ビジネスや観光など、さまざまな目的で幅広いお客さまにご利用いただいています。多様なニーズに応えるため、情報連携を強化することは現場からも強く求められており、その解決策としてチャットツールは最適だと考えました。
そうした背景のなか、情報収集のために参加した展示会で「direct」に出会いました。

現場のコミュニケーション課題について語る木藤様

運輸業界で使われている実績が安心感に
ユーザーの声に応える柔軟なアップデートも魅力だった

⸺ビジネスチャットの中で「direct」をお選びいただいたのはなぜですか?

すべての未読・既読が確認できることや、直感的に操作可能なユーザビリティは大きな魅力でした。そのほか、テキストで記録を残せる点もよいと感じました。

決め手の1つとなったのが、担当者による手厚いサポートです。検討にあたり、同じ運輸業界で「direct」を導入しているANAエアポートサービス株式会社さまを見学させていただきました。駅と近しい機能を持つ空港で実際に「direct」を活用している現場を見学し、解像度が上がりました。加えて、「もう少しこういう機能が欲しい」というユーザーの声に対してもL is Bさんは柔軟に応じてくださることを知り、「direct」の魅力をさらに感じることができました。

⸺導入にあたっては、「direct」の運用パートナーである菱洋エレクトロ株式会社さまのサポートもあったと聞いています。

当社の別部門で情報の電子化に関してお世話になっていた菱洋エレクトロさんに、当部署の「direct」導入についてもご支援いただきました。
社外サービスを導入するためのセキュリティ面の対応をはじめ、「direct」を単に活用するのではなく、チャットボットの利用や指令所と現場との連携など、「こうすればもっと良くなるのではないか」といった建設的なご提案を積極的にいただきました。また、いつでも気軽に問い合わせができる仕組みや雰囲気が整っている点も大変心強く感じました。既存ツールとの連携や駅員の働き方改革など、視野の広いご提案をくださっています。

取材にご同席いただいた菱洋エレクトロ 大場様

新幹線駅で発生する情報連携を「direct」で強化
紛失きっぷの共有には「掲示板」機能を活用

⸺「direct」はどのように活用していただいているのでしょうか?

各駅の中では、落とし物情報や最新の運行情報、ホーム・改札・出札などの各拠点の混雑状況、そのほか業務上必要な情報を「direct」で連携しています。非現業と駅員とのやりとり、駅間での紛失きっぷの情報共有なども「direct」でおこなっています。

具体的には、駅内情報連携トーク、出札・改札、輸送などの担務毎トーク、非現業と現場での双方向コミュニケーションを取るためのトークなどを作成しています。

JR東海様が作成されているトーク
指令所からの連絡を駅内へスムーズに周知

⸺活用にあたって工夫していることはありますか?

個人情報は掲出しないといった最低限のルールは非現業側で決めたうえで、トークの具体的な運用方法は各駅にお任せしています。非現業側から細かいルールで縛るのではなく、他の駅での使い方を参考として示すことで、ベストプラクティスを横展開するなどして、実際に使用する現場が使いやすい形にしています。

⸺紛失きっぷの共有には、「掲示板」機能を活用していると伺っています。どのように運用されているのでしょうか?

お客さまが乗車された駅で落とされたきっぷの情報を「掲示板」で全駅へ共有することで、きっぷ捜索の時間や問い合わせへの回答時間を短縮しています。

PCで見た「掲示板」の画面

具体的には、日付ごとに方向別(上り/下り)の話題を作成し、前日と当日の話題を使って運用しています。たとえば、東京駅から京都駅への下りきっぷを東京駅で拾得した場合、その日の下り線の話題の中に、紛失きっぷの写真と日時や拾得場所といった情報を投稿します。お客さまからきっぷ紛失の申告を受けた場合には「掲示板」を確認して、該当きっぷが掲示されているかを確認する形です。お客さまの対応が終了したら、コメントに「対応済み」と入力して、記録を残すようにしています。

スマートフォンで見た「話題」の一覧。日付ごとに作成した方向別(上り/下り)の話題を主に活用している
「投稿」の画面。拾得元の電話番号を写真に写すことで問い合わせ先も共有している

⸺「direct」導入以前は、紛失きっぷの情報はどのように共有されていたのでしょうか?

電話やFAXを使っていました。所定の台紙にきっぷを貼り付けて降車駅に送っていましたが、受信側の手が塞がっている場合には確認できませんし、FAXを送った後に別途確認の連絡を入れる手間も発生していました。加えて、電話や対面で共有する場合もありました。その場合、お客さまからきっぷ紛失の申告があると、駅内を捜索したり乗車駅へ問い合わせるなど、お客さまへ返答するまでにかなりの時間がかかっていました。

この課題について、東京駅にて、現場での業務改善活動の一つである「業務研究」活動のテーマとして取り上げました。同時期、各駅の全係員にスマートフォンを配布し「direct」の運用が始まっていたので、それを有効活用できないかと意欲的に取り組んだ結果です。東京駅が他駅を巻き込み「掲示板」を試運用したところ、お客さまをお待たせする時間を大幅に短縮することができました。この改善は社内の発表大会で高評価を獲得し、現在では東海道新幹線の全17駅で運用しています。

お客さまをお待たせする時間を大幅削減
今後は「direct」を活用して指令所と現場の連携を強化したい

⸺「direct」を使う前と後で、どれくらい変わりましたか?

全駅で紛失きっぷの情報を「掲示板」に集約・共有したことで、お客さまからきっぷ紛失の申告を受け、捜索し、対応を終えるまでの時間を大幅に短縮でき、きっぷ発見確率も上昇しました。その結果、業務効率化を実現できました。

東海道新幹線の全駅で導入したことで、各駅内でのコミュニケーションだけでなく、新幹線駅全体の連携力が向上したと実感しています。これまでは電話やFAXに頼っていた情報伝達をテキストでタイムリーに送受信できるようになり、コミュニケーションが大きく改善されました。

⸺今後は、「direct」をどのように活用していく予定でしょうか?

指令所から現場に向け、よりスムーズに情報共有ができる活用方法を検討しています。指令所では列車の遅延状況や運休などの情報を新幹線駅へと発信する役割を担っていますが、「direct」を活用することでより情報伝達の質とスピードを向上できるのではないかと考えています。
引き続き円滑な情報連携に資するよう、「direct」の活用を検討していきたいと思います。

  • *・・・非現業:現場業務以外の部門を指す

※記載内容は2024年10月時点のものです。

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