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「direct」と「カーボン Eye」で広がる現場DX
安全管理から環境経営まで、L is Bとともに前進

鉄建建設株式会社 現場集合お写真 鉄建建設株式会社 奥田様、鉄建建設株式会社 熊井様

鉄建建設株式会社

  • 東京支店 相模大野建築作業所 所長
    小山 俊彦 様
  • 東京支店 相模大野建築作業所 次長
    阿賀 道寛 様
  • サステナビリティ推進室
    サステナビリティ企画部長 環境マネジメント部長

    奥田 大輔 様
  • DX推進室 DX企画部 主任
    熊井 亮太 様

鉄建建設株式会社は、1944年に日本の陸運輸送力の確保と増強のため鉄道建設専門の国策会社として設立されました。以来、全国交通網の構築、地域振興、人々の住みやすいまちづくりに貢献しながら、事業を拡大しています。

同社は、中期経営計画2028で「誇れる企業へ」~サステナブルな未来社会への挑戦~をテーマに掲げ、2024年には環境省より「エコ・ファースト企業」に認定されました。持続可能な社会の実現に向けた取り組みを積極的に推進しており、中でも現場でのDXによる業務効率化と環境経営を支えるデータ活用の両面で改革を進めています。

今回は、現場で「direct」を活用し、協力会社を含む多くの関係者との情報共有や安全管理を効率化する相模大野建築作業所と、L is BのDXコンサルティング部と協働しCO₂排出量を自動集計するアプリ「カーボン Eye」を開発したサステナビリティ推進室の2箇所を訪問し、「direct」や「カーボン Eye」をどのように活用しているのか、それぞれのご担当者さまにお話を伺いました。

POINT

課題

導入の
決め手

活用効果

相模大野建築作業所

相模大野建築作業所が担当する一般分譲マンション工事の様子
相模大野建築作業所が担当する一般分譲マンション工事の様子

協力会社の安全衛生責任者等を含めた約150名で
安全・品質・情報共有を効率化

⸺相模大野建築作業所について教えてください。

当現場は、鉄筋コンクリート造12階建て・173戸の一般分譲マンション工事を担当しています。躯体・仕上げ工事は、西棟と南棟で異なる業者もあり、協力会社は躯体で19社、仕上げで35社にのぼります。多くの関係者が作業を進めるため、情報共有や安全管理のスピードと精度を向上させることが重要です。

相模大野建築作業所を取りまとめる所長の小山様
相模大野建築作業所を取りまとめる所長の小山様

「direct」は、現場社員や支店の安全品質環境部門に加え、協力会社の職長、安全責任者、契約責任者など、約150名が利用しています。「direct GuestMode(ゲストモード)」という機能を活用することで、社外関係者とも安心安全に利用できています。

direct GuestMode
用途ごとにトークを作成し、リアルタイムに連携している
用途ごとにトークを作成し、リアルタイムに連携している

情報共有をリアルタイム化
安全衛生協議会や緊急時の対応にも「direct」が活躍

⸺現場ではどのような場面で「direct」が活用されていますか。

よく使っているのが、安全衛生協議会の場面です。従来は、協力会社からの口頭での指摘や報告が中心で、内容が曖昧、記録作成に時間がかかるといった課題がありました。欠席者への周知報告書もメールまたはFAXで支店へ送る必要があり、手間がかかっていました。

現在は、「direct」で専用トークをつくり、現場と支店、協力会社が一体となって運用しています。まず、協議会前に各社の安全衛生責任者が現場パトロールをおこない、危険箇所や不備を「direct」に写真付きで報告します。協議会中にそれら報告と是正方法を全員で共有するため、状況が明確になり把握しやすくなりました。協議会後も、是正後の現場状況や周知報告書の写真をトークで送ってもらいます。これにより、指摘から改善までが一貫して可視化され、支店側もリアルタイムで確認可能になりました。紙やFAXが不要になり、対応漏れの防止にもつながっています。

安全衛生協議会前に、危険箇所や不備を写真付きで報告
安全衛生協議会前に、危険箇所や不備を写真付きで報告
周知報告書も「direct」で共有しFAXの手間を削減
周知報告書も「direct」で共有しFAXの手間を削減

⸺緊急時の対応にも「direct」を活用されているそうですね。

はい。事故や熱中症などの緊急対応でも大いに役立っています。
たとえば熱中症が発生した場合、「direct」で関係者を集めた専用トークを即座に立ち上げ、対応状況をリアルタイムで共有しています。スマートフォンから数タップで新しいトークを作成できるため、現場でも迷わず迅速に連絡体制を構築できます。

この手順は、相模大野建築作業所における熱中症発生後の対応マニュアルに組み込まれており、現場全体で定着しています。救急搬送時には、付き添いの社員が救急車内から搬送先や被災者の容体などを報告し、本社や支店も即座に把握できる体制を整えました。退院後、関係各所への経過報告や監督署への報告内容までを同じトークで管理できるため、やり取りの一貫性とスピードが格段に向上しました。

加えて、トーク内の報告や写真はそのまま記録として残せますし、高いセキュリティ設計のため個人情報を扱うケースでも安心です。緊急時でも安全に、すぐに、確実に情報を共有できることが、「direct」の強みだと感じています。

熱中症発生時の専用トーク
熱中症発生時の専用トーク
緊急時の迅速な情報共有が可能に
緊急時の迅速な情報共有が可能に

⸺その他に活用されている場面はありますか。

毎日の朝礼や、酸欠リスクのあるピット(地下配管スペース)作業の管理にも活用しています。
朝礼では、当日の安全注意事項をあらかじめトークで共有し、所長の口頭説明前に全員が内容を把握できるようにしています。また、ピットでの作業は酸欠などの危険を伴うため、作業開始前に酸素濃度の測定結果や入場者名を写真付きで「direct」に報告させています。危険箇所の情報をリアルタイムで確実に共有できるようになったことで、現場全体の安全への緊張感や意識の向上につながっています。

危険箇所の情報共有が、安全意識の向上に貢献
危険箇所の情報共有が、安全意識の向上に貢献

情報伝達のスピードと精度が大きく向上し、
現場全体の一体感につながった

⸺導入による効果について教えてください。

最も変化したのは、情報伝達のスピードと精度です。以前は情報をリアルタイムで共有する手段がなく、さらに口頭の情報だけでは曖昧だったため、指示や質問の確認に半日かかることもありました。現在は、「direct」でリアルタイムで共有・回答ができるようになり、施工ミスや勘違いの防止につながっています。写真にコメントを添えてやり取りできるため、言葉だけでは伝わりにくい内容も明確になりました。

また、緊急時にも専用トークで情報を即時共有できるようになり、初動対応が迅速になりました。安全衛生協議会の報告や是正結果も一元化したことで、支店との連携が一層スムーズになっています。

さらに、協力会社との連携も円滑になりました。社員と職長が同じ情報を同時に確認できるようになり、認識のズレが減少したことで、現場全体の一体感が高まりました。特に既読・未読機能では、誰が指示を読んでいないのかが明確に分かるため、状況の把握やリマインドがしやすくなり周知漏れの防止につながりました。誰でも直感的に使える操作性も、協力会社を含めた定着を後押ししています。

協力会社も一緒に「direct」を活用することで、現場全体の一体感が高まったと話す阿賀様
協力会社も一緒に「direct」を活用することで、現場全体の一体感が高まったと話す阿賀様

⸺今後の展望を教えてください。

今後は、内覧会の連絡や発注者とのやり取りにも「direct」を活用していきたいと考えています。協力会社を巻き込んだDXをさらに推進し、本社が進める全社的な取り組みに現場から貢献していきたいと思います。

鉄建建設株式会社の現場お写真 鉄建建設株式会社の現場お写真

サステナビリティ推進室

CO₂排出量削減に向けて
正確なデータ集計体制を模索

⸺サステナビリティ推進室の役割について教えてください。

鉄建建設グループは2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、社会的価値と経済的価値の創造を両立させる取り組みを進めています。その中で、サステナビリティ推進室では主に環境分野を担当し、グループ全体のGHG(主にCO₂)排出量削減を中心とした取り組みをリードしています。

中期経営計画2028では、2022年度比でScope 1(自社の事業活動に伴う直接排出)+2(購入した電力や熱等の使用に伴う間接排出)を32%、Scope 3(Scope 1、Scope 2以外の、事業活動に関連して他社で発生する間接排出)を20%削減という目標を掲げ、各作業所・事業所からの環境データを収集・分析しながら、削減活動と改善支援を進めています。また、Scope 1〜3の第三者保証取得や環境情報開示を担当し、データの信頼性と透明性を高める仕組みづくりを担っています。

⸺どのような課題があったのでしょうか。

サステナビリティ推進室では、全国の現場から集めたCO₂排出量データの集計に大きな負担を抱えていました。従来は、各作業所で日々の重機稼働状況を安全日誌に記録し、その内容を現場担当者が手作業でExcelへ転記して、燃料使用量を算出していました。そのため入力ミスや集計漏れが起こりやすいことが課題でした。

また、集計は月末などにまとめておこなうことが多く、協力会社からの請求書を遡って確認する必要がありました。短期間で大量のデータを扱うため、どうしても後追いの作業になってしまい、時間的な負担も大きいものでした。サステナビリティ推進室でも、各データの正確性を再確認する必要があり、現場・本社の双方に大きな手間がかかっていました。

さらに、従来の方法では、わずか数時間だけ動かした重機も「1日稼働」としてカウントしていました。既存のシステムではこうした細かな実態を拾いきれず、より現場に即した、正確な集計ができる仕組みが求められていました。

CO₂排出量データ集計の課題について語る奥田様
CO₂排出量データ集計の課題について語る奥田様

DXコンサルティング部に相談したことで具現化
CO₂排出量を自動集計する「カーボン Eye」

⸺そこでL is Bに相談いただいたのですね。

以前から、L is BのDXコンサルティング部が、各企業の業務課題の解決に向け、開発・提案をおこなっていることは伺っていました。現場運用を理解したうえで提案してくれる点に期待して相談しました。

⸺その結果開発に至った「カーボン Eye」について、まずは仕組みや機能を改めてお聞かせください。

「カーボン Eye」は、現場で使用する重機の使用時間をスマートフォンから簡単に記録し、CO₂排出量を自動で算出・集計できる仕組みです。

①記録者 ②「direct」から現場管理者に通知 燃料使用量を自動収集・集計 CSVデータ出力も可能

現場では、重機に貼られたQRコードをスマートフォンで読み取り、使用時間を選択肢から選んで送信するだけで記録が完了します。時間と位置情報が自動で記録されるため、入力漏れや不正を防ぎながら、誰でも簡単に操作できます。送信されたデータはクラウド上で自動的に集約され、燃料使用量とCO₂排出量がリアルタイムで計算されます。管理者はWebアプリや「direct」上で状況を確認でき、ボタンひとつでCSV形式に出力できるため、報告や監査対応もスムーズです。
現場・支店・本社が同じデータを共有しながら進捗を把握できるようになり、現場負担を減らしつつ、正確で透明性の高い環境データ管理を実現しています。

「カーボン Eye」で重機使用時間の一覧を確認できる
「カーボン Eye」で重機使用時間の一覧を確認できる
重機使用時間をもとに燃料使用量が自動集計される
重機使用時間をもとに燃料使用量が自動集計される

⸺「カーボン Eye」によってどのような成果がありましたか。

「カーボン Eye」により、CO₂排出量の集計や報告業務が格段に効率化されました。現場で入力されたデータが自動集計されるようになり、今まで手作業で見直していた作業時間が大幅に短縮されています。手作業による計算ミスもなくなり、管理の精度が高まりました。

導入から約2年が経ち、全作業所のうちおよそ9割で運用が進んでいます。協力会社にも使いやすい仕組みとして定着しつつあり、現場から本社までの情報がスムーズにつながるようになりました。サステナビリティ推進室での集計やチェックも整理しやすく、監査法人による第三者保証の対応もスムーズに進められています。

数字の正確性とスピードが両立されたことで、全社的なCO₂データの信頼性が向上し、環境経営の分析や方針決定に活かせる基盤が整いました。

DX推進室の立場から「カーボン Eye」に関わる熊井様
DX推進室の立場から「カーボン Eye」に関わる熊井様

鉄建建設とDXコンサルティング部が一体となり
現場で使い続けられる仕組みを模索

⸺DXコンサルティング部からの提案はいかがでしたか?

最初の段階では、「どんな形にできるのか」まったく決まっていなかったのですが、L is Bの担当者と顔を合わせて議論を重ねる中で、現場の実態に合った仕様として少しずつ具体的な形が見えていきました。開発の過程では、L is Bさんが私たちの現場課題や日々の運用を理解してくれたことが大きかったと感じています。

たとえば、使用時間の入力方法については「現場の負担をできるだけ減らしたい」という思いから、「半日・終日・線閉工事(夜間3時間)」の3パターンに絞ることにしました。こうした仕様の一つひとつを、L is Bさんと一緒に意見を出し合いながら決めていった形です。また、エラーチェックや一定期間後のデータロックといった機能も取り入れるなど、現場で確実に運用できる信頼性の高いシステムへと細かな調整を重ねながら完成度を高めました。

重機使用時間入力画面のイメージ。使用時間は選択式とすることで現場負担を減らしている。
重機使用時間入力画面のイメージ。使用時間は選択式とすることで現場負担を減らしている。

導入時には、L is Bさんが操作手順をまとめた動画や設定マニュアルを複数用意してくださり、現場でも混乱なくスムーズに活用が広がりました。
開発全体を振り返ると、まさに当社とDXコンサルティング部が一体となって取り組んだプロジェクトだったと感じています。お互いに意見を出し合いながら、「現場で使い続けられる仕組みとは何か」を共に模索し、形にしていったことが大きな成果につながりました。

本プロジェクトを担当したL is BのDXコンサルティング部 坂上
本プロジェクトを担当したL is BのDXコンサルティング部 坂上

⸺今後の展望を教えてください。

今後は、CO₂排出量の分析や削減策の立案など、より高度なデータ活用へと発展させていきたいと考えています。「カーボン Eye」で得られた仕組みと実績をもとに、他の環境データにも展開し、グループ全体のサステナビリティ経営をさらに強化していく予定です。

また、運用面での課題も少しずつ見えてきました。たとえば、担当者の異動や転勤によって記録が一時的に途絶えてしまうケースがあります。この点については、L is Bさんから「一定期間入力がない場合にリマインドを送る仕組みを入れてはどうか」というご提案をいただきました。現場の担当者だけでなく、支店の安全品質環境部にも通知が届くようにすれば、入力漏れを早めに把握できそうなので、ぜひ進めていきたいと考えています。

こうした意見交換を重ねながら、現場での課題を一つひとつ改善していくことが、L is BのDXコンサルティング部との協働の大きな価値だと感じています。単に仕組みを導入して終わりではなく、運用の定着や改善まで含めて伴走していただけるため、安心して相談することができています。今後もDXコンサルティング部と連携し、現場DXと環境経営の両立をさらに推進していきたいと思います。

(左から)株式会社L is B 坂上、鉄建建設株式会社 奥田様、鉄建建設株式会社 熊井様

大規模な鉄道工事現場で、協力会社との連絡を「direct」に集約し、業務ロスが大幅に改善

羽田空港への新たな鉄道アクセスルートを整備し、都心とのアクセス利便性の向上、シームレスな移動の実現、災害など異常事態時の代替性の向上など、首都圏のさらなる発展が期待される「羽田空港アクセス線(仮称)プロジェクト」で「direct」が活用されています。

※記載内容は2025年10月時点のものです。

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