建設・住宅・不動産

個別開発した現場資材発注システムで「direct」をさらに活用
現場と事務所間の往復が不要となり、働き方改革に大きく貢献

新菱冷熱工業株式会社

  • デジタルトランスフォーメーション推進本部 デジタル推進企画部 次長
    浜野 明大 様
  • デジタルトランスフォーメーション推進本部 デジタル推進企画部 施工プロセス課 主査
    小菅 太郎 様
  • 首都圏事業部 技術三部 技術一課 現場代理人 課長
    山中 真人 様
  • 首都圏事業部 技術一部 技術三課 専任課長
    田島 和也 様
  • 首都圏事業部 設計一部 設計二課 専任課長
    島﨑 昂 様
  • 首都圏事業部 技術一部 技術三課 主務
    香川 裕睦 様

新菱冷熱工業株式会社は1956年創業の環境エンジニアリング企業です。オフィスや商業施設・工場などさまざまな建物における設備の設計・施工を手掛けています。空調設備業界のリーディングカンパニーであり、衛生設備、電気設備などを主業務とするグループ会社とも連携しつつ、グローバルに事業を展開しています。

同社は、2030年までに温室効果ガス排出量50%削減、2050年までにカーボンニュートラル実現を目標に掲げ、デジタル化・工業化・組織化を柱とした施工プロセス変革にチャレンジしています。

施工現場・オフサイト拠点・バックオフィスの3拠点をBIMやデータにより連携することで、施工プロセスの変革に取り組まれている

施工プロセスの変革を主導するデジタルトランスフォーメーション推進本部は、「direct」をはじめとするICTツールの利活用を進めています。今回、「direct」の活用によって同社の施工管理業務や社員・作業員の働き方がどのように変化したのか、お話を伺いました。

POINT

課題

導入の
決め手

活用効果

社外とのメールや電話を手間に感じていた

⸺「direct」導入前は、どのような課題がありましたか?

社内の連絡はTeamsを使っていますが、セキュリティ面の懸念から社外との連絡はメールや電話が中心でした。しかしメールを作成するために事務所に戻る、文面の体裁を整える必要がある、といった余計な時間と手間が生じており、不便さを感じていました。緊急時は電話で連絡していたものの、電波が入らない場所にいることも多く困ることもありました。

⸺そこで、社外とのやりとりでチャットツールの利用を検討されたのですね。

はい。世の中でスマートフォンが普及したこともあり、チャットツールの便利さは感じていましたが、プライベートで利用しているチャットツールは、セキュリティの問題から業務に使用することはできません。そこで、セキュリティを担保できるチャットツールの必要性が生じました。

セキュアかつ使い勝手がよい「direct」
サブコンである自社主体での導入の決め手は利便性

⸺「direct」をご検討いただいたきっかけを教えてください。

もともと一部の現場では、元請けであるゼネコンに招待される形で「direct」を使っていました。それを自社主体でも使いたいという声が現場からあがり、デジタルトランスフォーメーション推進本部が全社的な導入を検討することになりました。

⸺本格的な「direct」導入に至った理由は何でしょうか?

検討に際して重視したのはセキュリティ面です。「direct」は国産であるほか、現場の情報が社外に流出しない工夫も凝らされていました。加えて、現場で働く社員にとって使いやすく、施工業務の省力化につながるツールであることが大きな決め手となりました。

私たちは専門工事会社という業態上、元請けであるゼネコンからアカウントを支給されることも多く、当社が主導して「direct」を導入する必要はないという声もありました。しかしそれでは、当社の協力会社作業員の方々とは「direct」でやりとりすることができません。利便性を鑑みた結果、自社でも導入したほうがよいという結論に至りました。

また「direct」には、さまざまなICTツールをつなぐ基軸としての役割も期待できました。これまで複数のICTツールを使ってきましたが、用途ごとに別のアプリを開く手間がかかっていました。「direct」と他のツールの連携機能を活用しその手間を削減することで、本当の意味での業務改善につながると考えたのです。

導入に至るまでの手厚いサポートもポイントでした。営業担当の方がさまざまな機能を積極的にご紹介くださり、導入後も手厚くフォローいただき、任せてよかったと感じています。

「direct」に業務改善への可能性を感じたと話す小菅様

約60の現場で利用浸透、それぞれにあった使い方で運用

⸺「direct」の運用状況について教えてください。

現在の利用登録者は、社員が1,000名以上、協力会社作業員が約800名となっています。現場単位で組織を作成し、約60の現場で「direct」を利用しています。

各現場では、協力会社や用途ごとでトークルームを作成することが多く、施工状況の共有や是正指示、資材の搬入連絡や緊急連絡などを「direct」でおこなっています。協力会社作業員の勤怠報告にも活用していて、出勤時や退勤時、残業状況などを「direct」で報告してもらっています。

工事関係者全員へ依頼事項を写真付きで周知
社内メンバーへ協力会社の当日作業内容を写真付きで周知
工事関係者全員へ変更内容を周知

現場では、直観的に使える操作感の軽さや、既読・未読が分かる点などが評価されています。複数人を交えたリアルタイムな情報共有が可能であるほか、画像を送る機能も重宝されています。

現場での「direct」活用を語る山中様(左)と香川様(右)

⸺「direct」が浸透している様子がうかがえます。利用者拡大に向けて工夫されていることはありますか?

現場にとっての使いやすさが何よりも大切なので、デジタルトランスフォーメーション推進本部が各現場をきめ細かくフォローする体制を整えています。また「使ってください」ではなく、「使ったら良いことがたくさんありますよ!」と周知しています。個別に開発いただいた「現場資材発注システム」をはじめとした拡張機能も充実しており、それらを使うさまざまなメリットも発信しています。

ご相談から個別開発した「現場資材発注システム」
発注をスマートフォンで完結しムダな時間を削減

⸺L is Bでは、DXコンサルティング(以下、DXC)部によるお客さまの課題に合わせた個別開発もおこなっております。
新菱冷熱工業様からも資材発注を管理するシステムについてご相談いただき、「現場資材発注システム」を構築しました。こちらのご相談背景をお伺いできますか?

きっかけは働き方改革でした。働きやすい環境を作るために、現場のムダを洗い出したところ、現場と事務所との行き来の時間、物を探す時間、物を注文する時間などが大きな課題として浮かび上がってきました。

その中でも、資材発注のための現場と事務所間の移動にムダな時間がかかっていました。「言った言わない問題」を防ぐため、注文は電話など口頭ではなく書面またはメールでおこなう決まりとなっています。そのため、発注のために2時間ほどかけて移動する場合もありました。

そこで「direct」で資材発注ができれば効率化になるのではと考えL is Bさんに相談し、「現場資材発注システム」の開発を進めることになりました。

⸺「現場資材発注システム」は具体的にどのようなシステムなのかを改めて教えてください。

「現場資材発注システム」は、「direct」を介して資材発注ができるシステムです。
発注依頼を受けたら「direct」で専用のトークを開き、発注先の管材代理店を選択します。するとWebフォームが開くので、発注品や届け先の現場名などを入力するだけで発注は完了です。

現場にいながらスマートフォンですぐに発注できるため、事務所に戻る必要はありません。発注品やサイズはあらかじめ設定したリストから選択するため、現場の手間は少なく、誤発注も防げます。管材代理店からの納期連絡も「direct」で確認できるため、「direct」だけで発注に関するすべての業務を完結させることができます。

前回と同じ内容での発注や発注状況の確認もできる

⸺開発の進行はいかがでしたか?

DXC部の担当者さんには、こちらの意向をしっかりと汲み取ったうえで開発を進めていただき、本当に助かりました。
開発中に発生した課題を改修しつつ、期待通りのシステムが出来上がってきていると感じています。現在、管材代理店に協力いただき、「現場資材発注システム」で発注~納品までの作業が完結できるかトライアルしています。問題なく運用できれば、別の管材代理店にも広げていく予定です。

ちなみに「現場資材発注システム」のアイコンには、当社独自のAIで生成したイラストを使用しています。当社社員がモデルとなっており、似ていると評判です。

アイコンとなっている発注担当のアユミちゃん

現場と事務所間の往復が不要となり
「direct」が働き方改革に大きく貢献

⸺「direct」の導入や「現場資材発注システム」の開発による効果を教えてください。

「direct」の導入は大幅な時間短縮につながりました。超高層ビルの建設で工事用のエレベータが渋滞している場合には、現場と事務所間の往復に2時間かかることもあります。「direct」は写真や動画で確認や指示ができるため、現場へ出向いての確認は必要ありません。これまで2時間かかっていた確認作業が、5分で済むようになったのは大きな効果です。

関連して、施工トラブルの減少も肌で感じています。移動に時間がかかると、施工状況を確認できる回数にも限界が生じます。現場所長が知らない間に小さなミスが積み重なったまま工事が進行してしまい、再度現場を訪れたときには取り返しがつかない状態になっていたこともありました。「direct」なら進捗をこまめに確認できるため、施工トラブルが少なくなったと思います。チャットでのやりとりは後からでも見返せるので、言った言わない問題も大きく減りました。

「現場資材発注システム」が本格運用されれば、発注1回あたりで数時間単位の短縮が期待できるため、業務改善効果はさらに大きくなるはずです。

⸺そのほかに感じた効果はありますか?

前述の効果にも言えますが、総じて「direct」は当社の働き方改革に大きく寄与してくれていると感じています。
たとえば、17時以降はプッシュ通知が来ない設定にしておけば、業務時間外に連絡が来ることはありません。指示を出す側も「direct」で送信予約をしておくことで相手に配慮できます。休暇中の相手には休み明けに送信されるよう予約することで送り忘れも防げますし、相手への気遣いをふまえた利用も可能となっています。

「direct」が働き方改革に大きく寄与していると語る浜野様

現場で使っているシステムを「direct」と連携して一元管理
「ナレッジ動画」で現場ノウハウの共有もおこないたい

⸺今後の活用について考えていることはありますか?

「direct」と他システムとの連携機能は積極的に活用したいです。たとえば「SPIDERPLUS」(*1)や「CheX」(*2)を使っている現場が多いため、連携機能を活用して、更新された図面をリアルタイムで共有するなどの使い方を模索していきます。「MotionBoard」(*3)も使っていますので、さまざまなデータを「direct」上で見られるようにしたいところです。たとえば「MotionBoard」で管理しているデータが基準値を超えたら「direct」にアラートを出すなどして活用できればと考えています。

また、先日「ナレッジ動画」を紹介してもらいました。現場ノウハウを字幕付きの動画で社内に簡単に共有できるサービスと聞いているので、こちらの活用も検討して現場業務の効率化を更に進めていきたいです。

  • *1・・・「SPIDERPLUS」は、スパイダープラス株式会社が提供する図面・現場施工管理アプリです。「direct」との連携に関して、詳しくはこちらをご覧ください。
  • *2・・・「CheX」は、株式会社YSLソリューションが提供するクラウド型図面共有システムです。「direct」との連携に関して、詳しくはこちらをご覧ください。
  • *3・・・「MotionBoard」は、ウイングアーク1st株式会社が提供する多機能BIツールです。「direct」との連携に関して、詳しくはこちらをご覧ください。

※記載内容は2025年5月時点のものです。

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