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「direct」専用ボットで現場作業員の体調をExcel集計・分析しながら徹底管理

株式会社大林組様事例:後編

株式会社大林組

  • 東京本店
  • デジタル変革プロジェクト・チーム 主任
    室井 達哉 様

1892年1月25日に創業し、130周年を迎える株式会社大林組。創業時から建設業界をリードし、「技術の大林」として幅広い事業を展開してきました。
とりわけ国内では、大阪城、阪神甲子園球場、六本木ヒルズ、東京スカイツリー®など、時代のシンボルとなる多くの建物を残しています。
大きな節目を迎え、同社では従来の風習にとらわれることなく、新たな価値やビジネスモデル、そしてこれまでにない収益源の創造に挑戦しています。
コロナパンデミックなど深刻な課題を抱える中、導入済みの「direct」の新たな活用方法をお伺いしました。

POINT

課題

導入の
決め手

活用効果

コロナ禍で現場作業員の体調把握と速やかな対処が求められた

室井様:
2020年に入り新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で猛威を振るい、日本国内でも同年4月から緊急事態宣言が出されました。

この頃から、当社でも、コロナ陽性となる作業員が多く見られるようになってきました。作業現場では、当社社員のみならず、数百人におよぶ協力会社の作業員が働いています。中には多少体調が悪くても作業への影響を気にして現場に出てくるケースが見られました。
しかし、体調不良を無視した無理な出勤は、極めて危険です。体調不良の人がいても、大したことはないと勝手に判断してその報告が上がってくるのに例えば3日かかるとすると、その3日のタイムラグのため、感染が拡大したり、濃厚接触者を増加させたりする要因となります。

各現場で体調不良者が出た場合は、現場事務所の当社社員に報告することをルールにしていましたが、作業員が体調不良となった時に、より素早く確実に報告できる仕組み作りが求められました。

作業現場に浸透している「direct」を採用、チャットボットでヒアリングと報告をルール化

室井様:
当社では全国の本支店で様々な部署でコロナ対策を担っていますが、東京本店では2020年7月に専任のメンバー3人による対策チームが発足しました。東京本店が管轄する現場における全作業員の新型コロナウイルス感染症に関する情報収集を行っています。
コロナ対策チームで現場から上がってくる報告をとりまとめていましたが、作業員の自主性に任せた報告には限界もあり、また、報告には心理的なハードルが高いだろうという懸念もありました。そこで、簡単で気軽に体調不良者の情報を吸い上げられる仕組みが作れないかということで、ヒアリングツールのシステム化の検討を開始しました。
システム化の条件としては、報告が現場作業員の負担とならないこと。当社の作業現場に導入しやすく、抵抗のないツールにしなければ報告が上がってきません。

次に、ヒアリング項目を柔軟に変更できること。陽性となった作業員を隔離するか、病院に入院させるかは保健所の判断によります。しかし、この頃はまだ個々の保健所の判断基準にばらつきがあり、濃厚接触者に対する対応も個別の案件ごとに異なることもありました。この判断基準が定まるまでは、使い続けながら、ヒアリング項目を変更していかなければなりませんでした。

これらにより採用されたのが「direct」専用のチャットボットでした。「direct」は当社の作業現場で使われており、作業員も管理者クラスにもなじんでいます。
「direct」チャットボットには定型文が用意されており、「direct」のチャットボットならヒアリング項目を統一できますし、項目を書き込んだExcelをアップロードするだけで適宜変更も容易です。ボットによりヒアリングするとともに作業員に指示を出すことも可能で、定型文で報告も上がってきます。

体調不良のヒアリング項目を統一、Excelで集計・分析も可能

direct「体調不良報告ボット」

室井様:
コロナ対策チーム内で企画して、2020年9月から設計・開発に入りました。
1か月半でほぼ完成し、10月から試験を開始。翌年2021年1月に「体調不良報告ボット」の名で全社リリースしました。
作業員が体調不良となった場合、報告者にボットがヒアリングし、必要となる項目を入力。具体的には、息苦しさやだるさなどの症状を選択したり、体温を入力したりします。これらの情報を報告した後、報告内容にしたがいボットが判断し、その場で自宅待機をするか、医療機関への相談をするかなどを指示。同時に、管理者へ体調不良者が出たことを通知します。
東京本店管轄では全現場にて使用できるようになっています。特に大規模な現場では作業員の数が多く、情報収集にも手間がかかることから、有用性が高く利便性が向上しました。逆に小規模な現場では、フェイスtoフェイスでの確認が容易なため、利用については現場の裁量に任せています。
体調不良報告ボット」の開発で、当初の課題であった現場からの情報収集はクリアできたと考えています。
体調不良に関するヒアリング項目を全社で統一でき、確実な報告と対処の指示が可能となりました。現場では、全員に毎日の体温測定を義務づけており、これが徹底されています。
現場の方々からも、報告への抵抗が少なくなったという声をいただいています。

コロナに限らずこれからも広く体調不良の把握に活用、オープンにして建築業界全体の発展に貢献

室井様:
新型コロナが終息しても「体調不良報告ボット」は継続して使い続けていきます。
建設現場では、作業員の体調管理は基本的な問題であり、極めて重要です。
今回は新型コロナのヒアリングに特化していますが、風邪やインフルエンザなど、汎用的に使っていくことができます。
この仕組みをオープンにして、同業他社が使用できるようにしています。「体調不良報告ボット」の使用が広がることで、業界全体の発展に貢献できるのであればというスタンスで開発しました。
チャットツールは多くの種類がありますが、「direct」はチャットボットを使えるのが魅力です。現場では報告のハードルを下げることができますし、管理者側ではその集計や分析が容易です。
就労報告など、これからもさまざまな情報の収集や交換に「direct」とチャットボットを使っていきたいと考えています。

※記載内容は2021年7月時点のものです。

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