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メールや電話での確認回数が減り、取材のあり方が大きく変化

株式会社テレビ朝日

  • 報道局 ニュースセンター長補佐
    隅田 繁 様

報道の現場では、毎日多くの記者やカメラマンが日本全国、時には海外を飛び回り情報のやりとりを行います。テレビ朝日では取材情報の共有のためビジネスチャット「direct」を導入。事件・事故・災害などの情報を正確に、いち早くキャッチするために役立てています。同局報道局の方に「direct」活用の実情についてお話をお聞きしました。

POINT

課題

導入の
決め手

活用効果

導入前の課題

テレビ朝日報道局では、事件や事故、災害等の取材を記者やカメラマンが複数の取材班を作って行うほか、個々の番組でもディレクターやアナウンサーが独自の取材をしています。また、関東以外で大きな災害・事件が起きた場合は、地元の系列局と連携して局や番組の枠を超えた取材態勢をとる事もあります。

その際、たびたび問題になるのが「縦割り」の構造です。
本来、現場で記者が情報を得たら、瞬時に他の取材スタッフ全員が情報共有するのが理想です。
その後の取材方針を素早く決めたり、同じ現場に複数の取材スタッフが重なってしまうのを防いだりできるからです。しかし現実には、それぞれの局や番組のスタッフ内で情報が留まってしまうケースが多くみられていました。その結果、どこで何を取材しているのか把握できない取材班がいたり、情報の更新に気が付かないスタッフがいるという事態も起こっていました。

ビジネスチャット導入の理由

「1対1」のコミュニケーションである電話は、チームの情報共有には適しません。メールもリストに一斉送信することはできますが、取材するニュースごとにリストを作成したり状況に応じてリストのメンバーを更新する必要があるため、大規模な取材の場合は迅速な対応が難しくなります。また、送った指示や情報が相手に読まれて伝わっているのか分からないという問題もあります。

ビジネスチャットを利用すれば、所属する局や番組に関係なく取材に携わる人をトークルームに登録し、組織を横断した連絡手段を簡単に構築することができます。既にスタッフ間でチャットを使っている番組もありましたが、テレビ朝日と系列局で統一したシステムを導入する事になりました。

「direct」を選んだ理由

他社の製品にも有力な候補が幾つかあり、ビジネスでシェアが高かったり、多くのスタッフが使った事があるようなポピュラーな製品など、それぞれメリットはありました。しかし、既に仕様が完成しているため、報道機関としてのニーズに合わせて機能を追加するのが難しいといった課題がありました。

その点「direct」は良い意味での発展途上で、ユーザーの希望に合わせて製品を“進化”させようという姿勢を強く打ち出していました。どのツールを採用するか選考を重ねる中で、私たちからの提案を生かしてもらい、報道の現場で使いやすいツールとして一緒に作りあげていく可能性を感じ採用を決めました。

導入後の取材スタイルの変化

当時、私は社会部のデスクをしていました。現場にいる記者・カメラマンの動きを把握して取材の指示をする立場だったため「direct」を頻繁に使う“ヘビーユーザー”になりました。導入後は、複数の県をまたいで取材する大きな事件や災害が相次ぎ「direct」の効果を実感することになります。

「direct」では、複数の現場にいる記者やカメラマン、番組の取材スタッフが1つのトークルーム内にそれぞれ得られた情報を書き込み、取材の進捗状況が一目で分かります。後から取材現場に入ったスタッフもトークルームで過去のやりとりを見られるため、それまでの取材のプロセスも簡単な説明で済むようになりました。さらに、現場間だけでなく本社にいるデスクやVTRを作るディレクターも素早く情報を共有できます。電話やメールで現場に確認する回数も減り、取材のあり方が大きく変わりました。

多くの情報が飛び交う報道フロア
取材内容をデスクでリアルタイム共有

国内・海外で取材班の動きを把握

予想外に役立っているのがメンバーがいる場所を地図上に示す「今ココ」スタンプです。例えば大災害で他の系列局の地域に応援取材に行く場合、土地勘のない現場で動き回ることになりますが、山間部で住所・地番が分からない場所でもワンクリックで現在地を明確に知らせる事ができるため、安全管理の面でも有益です。

海外取材でも「direct」は力を発揮しています。ベトナム・ハノイに多数の取材チームが入った米朝首脳会談では、現地と本社のスタッフがトークルームでやりとりすることで、情報収集や生中継の準備をまるで国内取材のようにストレスなく行えました。

写真・動画共有の手段が一元化

取材の現場では「写真」「動画」の共有もこれまで大きな課題でした。例えば、ニュースに登場する重要人物の顔や乗った車の種類。文字や言葉で伝えるよりもそれらが映った写真・動画があれば、間違って撮影したり撮り逃すリスクは格段に減ります。しかし、写真・動画はデータサイズが大きいためメール添付に制約があったり、他の共有ツールも手順が複雑だったりと情報共有に苦労していました。「direct」では簡単にトークルームで写真や動画を投稿できるので、こうした問題を一気に解決できました。

今後期待する機能

最も欲しいのは「ノート」機能です。スタッフ間で「direct」がツールとして浸透した反面、事件や災害直後にはチャットに現場から膨大な投稿があり、オンエアに直結するような情報が埋もれてしまうケースが生じています。

そこで、全員が共有すべき重要な情報をメッセージを遡らなくてもすぐに見られるようになれば、さらに報道現場に適したツールになると思います。今後も、こうした新たな機能が迅速に実装できるよう課題の洗い出しなど協力していきたいと考えています。

※2019年6月のアップデートでノート機能が実装されました。今後もお客様の声を聞き、さらなる機能アップデートに取り組んでまいります。

※記載内容は2019年6月時点のものです。

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