建設・住宅・不動産

チャットボット「KY・ヒヤリハットソリューション」で
現場報告のペーパーレス化に貢献したい

株式会社ミライト・エックス

  • 取締役兼コンタクトセンタ所長
    堀 琢磨 様
  • コンタクトセンタ
    セールス&サポートグループ

    冨田 篤生 様

株式会社ミライト・エックスは、国内58社・海外27社のグループ企業を持つ株式会社ミライト・ワンのグループ会社です。太陽光発電設備や蓄電池システムの販売、設計、工事、保安までをワンストップで提供する「環境エネルギー事業」のほか、ICTコンシェルジュとして顧客の情報通信環境をサポートする「ソリューションサービス事業」も展開。情報と環境、そして人が融合できる豊かな未来社会を目指しています。

同社は、現場業務を効率化し建設業のDXを推進する総合的なICTサービス「さくレポ」の提供を2022年9月に開始。今回は「さくレポ」シリーズの第1弾としてリリースされた「direct」内に設置するチャットボットサービス「KY(危険予知)・ヒヤリハットソリューション」や、「direct」導入のきっかけについてお話を伺いました。

POINT

課題

導入の
決め手

活用効果

人と情報と環境が融合できる
豊かな未来社会を目指して

弊社のICTソリューションサービスには、各種問い合わせやトラブルへの対応のほか、さまざまなサポート業務をおこなうコンタクトセンタがあります。通常コンタクトセンタといいますと、お客さまからの入電対応や顧客開拓をするイメージを持たれる方も多いかと思います。
しかし、ミライト・エックスのコンタクトセンタは、各日程調整、機器手配、作業指示、各種申請、設備確認といった現場作業に伴う間接業務を一手に引き受けているのが特長です。

これらの現場作業に伴う間接業務をワンストップで提供

効率化や生産性を考慮し、独自システムの開発やコミュニケーションツールの導入、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による自動化なども積極的に進めております。また、自律ナビゲーション付きのAI搭載パーソナルロボット「temi」の提供も開始。temiは上部にタブレットが付いているロボットで、スマートフォンやPCで動かしながら画面越しで離れた相手と会話ができるため、医療の現場などで活用されています。

また弊社は大小さまざまな工事をおこなっています。現場の安全管理には常日頃から気を配っており、事故が起こらない環境を整備しております。

事故「ゼロ」を目指した「KY・ヒヤリハットソリューション」

KY活動やヒヤリハットの課題について話す堀様

現場での事故「ゼロ」を目指すため、根本的な改革が必要と感じました。現場では、慣れや惰性はなくきちんとKY活動(危険予知活動)が実施されているのか、ヒヤリハットが発生したら細やかな内容もすべて的確に報告・共有できているのか。それらを見つめ直さなければ、大きな事故につながりかねません。

「KY活動」とは、現場にどのような危険が潜んでいるかを見つけ、その中から緊急性の高い危険を選び、対策を検討し、行動目標を話し合って決定する作業です。定めた行動目標は全員に知らせるため紙に書いて回覧、もしくはホワイトボードでの確認をおこないます。

もちろん弊社でも、作業前には必ずKY活動・ヒヤリハット報告を実施しています。しかし、報告を紙でおこなっていたため、作業員がどのような報告をしたかの集計、分析をおこなうには時間と労力がかかっていました。また、現場へ集計・分析結果を展開するのも大変な作業となっていました。

1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れ、さらにその背後には事故寸前だった300件のヒヤリハットが隠れていると言われています。この「ハインリッヒの法則」が示す教訓を活かすためには、ヒヤリハットをできるだけ顕在化し、素早く周知し対策を打つことが大切です。

そのためにも、ヒヤリハットの事例を集める仕組み作りが必要だと感じ、方法を模索し始めました。

そんなときに、かねてからお付き合いがあったサンソウシステムズさまから建設業の現場課題を解決するDXソリューションとして「direct」やチャットボットの有用性についてご提案をいただいたのです。

まずは自社のKY活動やヒヤリハットの電子化と効率化によって、事故を未然に防ぐ体制を築くため、デジタル化の検証を実施。サンソウシステムズさまと共同開発で、現場業務の効率化を実現する総合的なICTサービス「さくレポ」シリーズを開始し、第1弾として「direct」の中で使えるチャットボットサービス「KY・ヒヤリハットソリューション」(*1)のリリースに至りました。

「direct」を通じて簡単に登録
参考になった事例には「いいね」ボタンで意思表示

「KY・ヒヤリハットソリューション」は、ビジネスチャット「direct」を通じてKY活動やヒヤリハットの内容を登録したり、事例を閲覧したりできるチャットボットです。「direct」のほか、Webデータベース型業務アプリケーション「kintone」などのクラウドサービスで構成されています。登録情報は、クラウドデータベースへ保存されるため、ポータルサイトからリアルタイムで傾向や登録状況を確認できます。

KY活動を登録する場合は、まず「LAN工事」「電気工事」などの工事のジャンルを選択します。続いて「人身系」「設備系」などといったどのような観点のKY活動かを登録し、実施した活動内容をテキストで入力します。入力例が記載されているので、どれくらいのボリュームで入力すればいいかわかりやすくなっています。スマートフォンで撮影した画像があればアップロードも可能です。また、各選択肢の内容は変更できるようになっています。

ヒヤリハットがあった場合も、KY活動とほぼ同様の形式で登録します。異なる点は、発生した当日に入力できない場合を考慮し、1日前のヒヤリハットを報告する際は「昨日」を選択するなど、後日入力しても問題ない設定にしています。また発生原因を選択する工程も追加しています。「思い込み」や「不慣れ」など、なぜヒヤリハットが発生したか自問自答してもらう工程を入れることで、再発防止につなげています。

そしてここがポイントなのですが、他の人が登録したKY活動やヒヤリハットの事例を、匿名で確認することができます。同じような作業でどのようなヒヤリハットが報告されているのか、事前に確認することで事故の防止につながるのです。

また他の人が登録した事例には「いいね」スタンプを押せるように開発しました。「いいね」を付けると、ヒヤリハットの事例を登録した人にポイントがどんどん加算されます。ポイントの高い人に表彰やインセンティブを設けることでモチベーションが上がり、さらに事例が集まるという好循環も生まれています。

「KY・ヒヤリハットソリューション」の画面

スマホ操作に慣れていない方でも「操作がしやすい」と好評価
音声入力が便利で報告数もアップし、コミュニケーションも円滑に

「direct」の評判について話す冨田様

実際に現場でヒヤリハットが発生しても、事例報告が素早く簡単にできなければ浸透していきません。その点「KY・ヒヤリハットソリューション」は、「direct」の機能を活用した音声入力ができるので迅速な登録が可能です。「音声入力があるおかげでKY活動をしてくれる人が増えた」という声が上がるほど、音声入力機能は高い評価をいただいています。

また「direct」はマニュアルを見なくても活用できるほど操作が簡単なため、現場の方からは「勉強の手間がない」とうれしい言葉も頂戴しました。さらに既読・未読機能があるため、全員が閲覧したかを確認できます。実際に自社でも使用してみたところ、未読の人をフォローすることで未読が減り、情報伝達がスムーズになりました。

ちょっと意外な反応としては、「direct」のアクションスタンプ機能の評価でしょうか。回答者がボタンを選択するだけで対応可否を報告できる「ToDoスタンプ」を活用することで、部下から上司への依頼がしやすくなり、上司も自身のタスク状況を把握しやすくなったという意見がありました。質問と回答の選択肢を作成して送信することでボタンを選択するだけで回答を集計できる「セレクトスタンプ」は、会議内容の把握に活用しています。

「KY・ヒヤリハットソリューション」の導入により、結果的にコミュニケーションの円滑化にも役立っていて、とてもうれしく感じています。

名刺情報は顧客アンケートと共に「direct」を通じて一括管理

名刺情報の管理にもサンソウシステムズさんが提供する「営業アプローチソリューション」(*2)を活用し、「direct」を通じておこなっています。

「営業アプローチソリューション」の画面イメージ

たとえば展示会に出展すると1日で多くの方々と話し、名刺交換をします。弊社ブースにご来場いただいたお客さまには、説明員がアンケートを取り、その内容と名刺情報をセットにしてデータ化しています。「営業アプローチソリューション」で名刺写真を撮影をするとOCRで読み取り、メールアドレスや会社名などがデータとして蓄積。検索も素早くできます。「direct」を通じて名刺には書かれていない、お客さまのご意見・ご要望などもセットで記録できるので大変重宝しています。

想像以上の「ヒヤリハット」を可視化
今後は体調管理やアルコール検知機能も視野に

「KY・ヒヤリハットソリューション」導入後、現場では思っていた以上にヒヤリハットが起きていたことがわかりました。たとえば一人での作業の場合、KY活動は現場に任せきりになりがちです。しかし「KY・ヒヤリハットソリューション」を導入し「direct」で情報共有をするようになったことで、リアルタイムでの確認、迅速な指導・アドバイスが可能となりました。

さらに紙でおこなっていた業務をデジタルに置き換えたため、状況把握が瞬時にでき、集計や分析の手間も減りました。形骸化しがちなKY活動が、実効性の高いKYへと変化したのです。

今後は、体調管理やアルコールの検知ができる機能なども追加していきたいと思っています。総合的に現場の方々の安全を守ることができるよう、現在は現場の方へのヒアリングを進めております。

忙しい現場の方々には、ご自身ですべて入力するよりも選択肢方式で、なるべく簡単に返信できるほうが好まれる傾向があります。その点、「direct」の中で使えるチャットボットはとても直感的に利用できるので、まずは使っていただきマッチするか体験して欲しいと思います。そうすることで、現場の安全につながればうれしいです。

また先日、L is Bさんのラジオ番組「現場DX研究所」にゲスト出演をさせて頂いた際「KY・ヒヤリハットソリューション」についての話をしました。多くの企業様の、事故「ゼロ」に向けた取り組みの参考になればと思います。

  • *1・・・「KY・ヒヤリハットソリューション」は、株式会社ミライト・エックスと株式会社サンソウシステムズが共同開発したチャットボットです。利用をご希望の方はこちらよりお問い合わせください。
  • *2・・・「営業アプローチソリューション」は、株式会社サンソウシステムズが提供するチャットボットです。利用をご希望の方はこちらよりお問い合わせください。

※記載内容は2023年7月時点のものです。

ラジオ番組「現場DX研究所」にて詳しくお話を伺っています

文化放送ラジオ番組「現場DX研究所」では、ミライト・エックス様にご出演いただき、「KY・ヒヤリハットソリューション」をはじめとしたDXに関する取り組みについて詳しくお伺いしました。
アーカイブを公開しておりますので、こちらもぜひお聴きください。

前編の内容

  • 「KY・ヒヤリハットソリューション」の具体的なサービス概要や開発のきっかけ
  • 実際に「KY・ヒヤリハットソリューション」導入している現場の声や効果
  • 今後「さくレポ」で実現していきたいこと

後編の内容

  • DXに関する課題や取り組みの必要性を感じたきっかけ
  • 建設業界のDX化の進み具合について感じていること
  • 「temi」や「WinActor」といったロボットの特長や活用場面

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