災害時の一次情報を素早く共有
株式会社広島銀行
- 総合企画部 企画室 担当課長
新谷 達 様
- 総合企画部 企画室 担当課長代理
本多 正典 様
金融機関にとって自然災害など緊急事態への適切な対応は、最重要課題の一つ。各支店の状況をリアルタイムに共有し、迅速・適切に対処する必要があります。広島銀行では、地震や豪雨などの緊急対策本部の情報共有ツールとして「direct」を採用。同行の担当者に「direct」導入のきっかけや活用法、要望などをお聞きしました。
POINT
課題
導入の
決め手
活用・効果
ビジネスチャット導入のきっかけ
新谷様:
ビジネスチャット導入を検討するきっかけは、2018年7月に西日本で発生した豪雨災害でした。当行では自然災害などの緊急事態が発生した時に、各店舗の被害状況等をとりまとめ、対応を指示する災害対策本部を設置しています。
災害対策本部のメンバーは企画部門、総務部門といった各セクションの事務局、各部長、そしてそれぞれの担当役員です。災害発生時、まず事務局同士が連携しながら状況のヒアリングを行い、結果を電話やメールで部長、そして役員に報告します。
しかし、豪雨の際に問題となったのが、電話は相手のコンディションによって必ず伝達できる訳でもなく、また一斉に連絡することはできない。そしてメールではその情報を確認したのかが分かりにくいなどもあり、とくに夜間や休日に災害が発生した場合、役員や経営層が実情を把握するまでに時間を要し、結果として初動が遅れる原因ともなります。指示系統の「縦割り構造」を改善し、迅速に情報共有を行う方法を再検討する中で、ビジネスチャットに着目しました。
「direct」を選んだ理由
新谷様:
以前、金融商品の販売担当者にビジネスチャットを試験的に導入したことがあり、チャットの使い方等についてはある程度知識がありました。今回、災害対策本部での採用に当たって、改めて各社製品の機能をいくつかの項目で評価・比較しました。
比較の結果、チャットとしての使い勝手にほとんど差異はありませんでした。その中で「direct」を選択した理由として重要視する評価項目の一つ「セキュリティ」の評価が最も高い製品だったことがあります。
機能のうち私たちが高く評価したのが「端末認証」です。ビジネスチャットを含め多くのWebサービスは、ログインIDとパスワードさえあればどの端末でもログインできます。もちろんそれは便利さもあるのですが、災害対策本部での重要なやり取りを、銀行で管理していないスマホやPCで行えることには不安もありました。端末認証を使えば、あらかじめ登録した端末のみでアクセスを許可することができ、高いセキュリティ性を担保することができると考えたのです。
災害時の一次情報を素早く共有
新谷様:
2019年4月に「direct」の運用が正式にスタートし、危機対策本部と防災・防犯対策推進本部のチャットルームを作成、メンバー登録を行いました。
災害時に初めて「direct」を活用したのが、2019年5月九州で発生し、宮崎県で震度5を記録した地震の際です。当行は九州にも支店があり、また広島でも震度3程度の揺れがありましたので、状況連携のために「direct」を利用しました。
本多様:
そのほか、5月1日の「令和」への改元と10連休の際も「direct」で情報共有を行いました。改元に伴うシステム切り替えで不具合は出ていないか、休日営業店舗で業務が正常に終了したか等の情報を共有しました。
チャットルームでは、あとから電話等で細かいニュアンスを報告する場合でも、重大な問題が起こっているか否かといった一次情報が真っ先にわかることは、安心感があります。また既読と未読が一覧で表示され、情報が誰に伝わっているのか一目瞭然になるのもうれしいポイントです。チャットの使い勝手も馴染みがあり、スムーズにコミュニケーションをとることができました。
新規メンバーの登録が簡単
新谷様:
今後、長く使っていくにあたり、管理・メンテナンスでの使い勝手も重要です。「direct」はユーザ登録や管理の操作がしやすく、今後メンバーを追加する場合もスムーズに行えそうです。また、新規メンバーが登録後に行われた会話だけではなく、登録前のチャットルームでのやり取りをすべて読めるように設定できることも便利だと思います。
過去のコミュニケーションをログで検証
本多様:
チャットルームでは削除されたテキストも、ログをエクスポートすることで後から確認することができるので、災害時に行われたやり取りを検証する必要が生じた場合も詳細な分析が可能です。なお「direct」を試験導入していた頃に「ログの出力形式が見づらい」という評価があったのですが、最近のバージョンで形式が変わり、大変見やすくなりました。
今後「direct」に期待すること
新谷様:
ビジネスチャットの利用はこれから広がる可能性があると考えています。
とくにチャットボットには興味を持っています。「direct」のウェブサイトで他業種の企業の活用事例を拝見しながら、金融機関にとって利便性の高いチャットボットはどのようなものか、考えることはあります。例えば当行の業務システムには予算承認を取るためのワークフローが至る所にあります。チャットボットやAIを利用することにより、承認が必要な場合に管理者に通知が行くシステムがあれば便利なのではないかと思っています。
ビジネスチャットを導入する際「どのような効果があるのか」「前の方法ではいけないのか」と疑問の声が上がることがあります。しかし電子メールが普及した時も「電話やFAXを利用すればよいではないか」と不要論がありましたよね。私自身は今後チャットはビジネスにおいて欠かせなくなると考えており、今回の「direct」導入はコミュニケーションによる情報連携の重要性を認識するきっかけになるのではないかと思っています。
※記載内容は2019年8月時点のものです。